MESSAGE of 原口陶磁苑HARAGUCHITOUJIEN

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

toujienlogobl.jpgtoujienlogobl.jpg

HOME > MESSAGE

■創業への思い。

DSC01798.jpg原口陶磁苑は2009年に有田焼の商品開発ラボとして設立。大阪・三休橋で2010年春に 創業を開始しました。創業者は有田焼の窯元(日本ボーンチャイナ)に生まれ、2代目窯元として陶磁器の製造に13年間携わってきました。 陶磁器発祥の地である有田は、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に来日した陶工たちの陶石の 発見から約400年。1650年にはじめてオランダの東インド会社を通じて世界に輸出され、 有田焼がヨーロッパの王侯貴族をはじめ世界中の人々を魅了します。鎖国の間は輸出 が禁じられ、江戸幕府の崩壊により大政奉還が行われ、明治になり開国となりました。 有田焼は鍋島藩の庇護のもとで生産していましたが、明治に入り庇護を受けられなくなり、これにより有田焼は衰退をはじめます。有田焼の再興を誓い陶工たち自ら行い パリ万博、ウィーン万博、フィラデルフィア万博に出展。世界最高の陶磁器と評価を され有田焼の隆盛の時代を迎えました。その後明治期には現在の自動車、電気産業が日本に外貨を運んでいるのと同様に、当時は有田焼が日本に外貨を運んで来たといわれております。このように衰退、隆盛をくりかえす歴史背景のなかで、昨今、有田焼 の取り巻く環境は激変しており、有田焼は最大の危機と言われています。旧態然としたモノ作り、販売方法だけではもはや限界。また産地としても生き残りをかけた大き なターニングポイントにさしかかっていると感じ、産地である有田から飛び出すを決意しました。新しい時代、これからの世代の方々に、陶工たちが伝承し続ける卓越した技術を、メイドインジャパンの力として守り、また、生産者が自ら広く紹介していていかなければいけない。そのためには前回の衰退の時代と同様に生産から流通経路、価格、デザインまでを、販売拠点の近く(お客様の顔が見えるところ)で、旧態依然の形ではないプロデュースをしなければならないと痛切に感じたからです。同時に伝統に新しい風を入れるために、大阪を拠点に活動する同世代のクリエイター、池内大 (IKEUCHI BROTHERS&Co.)をデザイン・ディレクターとして招き、商品開発をスタートします。そして2009年11月に原口陶磁苑の処女作となるシリーズ“minimum essentials”(以降、ミニマムシリーズ)第1弾が完成。東京の新宿伊勢丹本店での発表・販売を皮切りに、関西では京都デザインハウスで販売を開始しました。

■処女作、ミニマム・エッセンシャルズ。

DSC01925.jpgこのシリーズは日本人のための洋食器(現代の日本の食器)をテーマにしています。毎日使える日用品ですので、作家ものやアート作品のような派手さはありませんが、その中でも、今の空気と日本製の良さを表現したいという思いがありました。日本人は稲作が始まった時代より米を主食とし、山菜や魚を食べています。これが現在で言われる日本食の源流。しかし、ここ200年あまりで日本人の食生活は大きく変化をしてきました。そして、戦後の高度成長と比例して世界中のメニューが食卓にのぼるようになりました。それにもかかわらず多くの食器はお決まりの洋食器・和食器・中華食器 というくくりの中にあります。しかし、このようにグローバル化した日本の食生活のなかでも、ほぼ毎日変わらず、食卓に上がる主食はお米です。ごはんをおいしく食べ るために、洋食のステーキ/フライ物、中華の炒め物などをおかずにしています。この状況を前提とした食器がないということに気づき様々なジャンルの料理人、フードコーディネイターをはじめ一般の主婦の方々と会話を重ねながら作り上げたのがミニマムシリーズです。食の国籍を越え、毎日使える食器として完成しました。和食、中華、韓国、イタリアン、インド料理、タイ料理・・・なんでもこいの食器です。

■ 新しいスタンダードは、昔むかし。

_DSC0164.jpgまた、ミニマム・シリーズは日本人のための洋食器(現代の日本の食器)をテーマに作り上げたシリーズですが、面白いことにデザインの検討を重ねた結果、出来上がってきたのは、道元から始まる禅の食器に見られたカタチにとても近いものでした。(実際、 収納を考える上で強調されるスタッカビリティーを重視したものではなく、伝統的な入れ子のスタイルをとっています。) 現在の日本料理はもともと禅の粥に始まり精進料理、茶懐石へと進化し、日本料理屋 の割烹料理と変わって行き、その中で、食器も料理に合わせて作られてきました。進化する過程で料理に合う使いやすいデザインになり、毎日使う食器から離れていった ような気がします。なぜかと言うと現代の人が毎日、割烹料理を食べていないからです。 毎日使う器はその食材にあったものであり、それが使いやすい食器になると考え新しいベーシックを求めた結果は自然に先祖帰り。時代をさかのぼって原型に帰り、ほんの少しリメイクされた形と、英国生まれの素材であるボーンチャイナを生地にすることで、新しい表情と、用途の広がりが生まれてきたのです。そして今、このシリーズをスタートに、よそ行きの食器ではなく普段着の食器、使える食器を作り続けていきたいと、さらに思いを強くしています。そして、新しい表現を支える為に欠かせなかった、400年の伝統技術を次代へつなぎ、再度、世界に評価される商品づくりを、原口陶磁苑は目指して参ります。

原口陶磁苑代表取締役 原口資将